(写真=Nostalgia for Infinity_Shutterstock.com)
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Crowdfunding

クラウドファンディングで月面着陸!?民間の力で月を調査せよ

2018.12.28
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「Google Lunar XPRIZE(グーグル・ルナ・エックスプライズ)」という宇宙を舞台にした賞金レースをご存知でしょうか。2007年にGoogleがスポンサーとなってXPRIZE財団が始めたこのプロジェクトは、「小型無人探査機を月面に着陸させ月のデータを得る」ことを目的としてチームを募り、見事優勝したチームには賞金2000万ドルが与えられる、として注目を集めました。

これまで、日本でも多くのメディアがこのコンテストを取り上げてきました。そして、その動向の中心にいたのが日本のチーム「HAKUTO(ハクト)」です。開始から11年の時を経てコンテストはどのような結果となったのかを、HAKUTOが行ったクラウドファンディングの内容とともにお伝えします。

「Google Lunar XPRIZE(グーグル・ルナ・エックスプライズ)」について

このコンテストを主催しているのは、非営利団体のXPRIZE財団です。財団を率いるのは2014年に「世界の偉大なリーダー50人」に選出されたピーター・ディアマンデス氏です。同氏が創立したこの財団は、宇宙、エネルギー、環境といったさまざまな分野で活動を続けています。

その中で特に注目を集めたのがこの「Google Lunar XPRIZE」です。世界中の民間チームが「月面に探査機を着陸させて月のデータを得る」ことを目的として参加し、優勝を狙ってきました。小型とはいえ、探査機の開発やロケットの打ち上げには莫大な資金を必要とすることから、各チームは技術面だけでなく、資金調達面でも問題を抱えていました。

多くの支援を得たHAKUTO

日本からレースに参加したHAKUTOもロケット開発と並行して資金調達にも奔走します。成功すれば大きな意味を持つこのプロジェクトは、チームの働きもあって多くの国内企業の賛同と支援を受けました。また、「HAKUTOサポーターズクラブ」を開設し、クラブの入会金やオフィシャルグッズの販売を通して資金調達を行ってきました。それでも資金が不足することもあり、2013年と2017年にクラウドファンディングで支援者を募ります。

2回目となる2017年、支援金額の目標は3000万円と高額でしたが、1337人の支援者によって目標額を超える3372万円を調達。クラウドファンディングによる資金調達は大成功を収めました。

勝者がいないまさかの事態に

世界中から16チームが参加したこのレースで、技術力や資金力の問題で脱落が相次ぐ中、最終的に賞金を目指したのはわずか5チームでした。その中の一つであったHAKUTOは2015年1月に、中間賞を受賞し、チームメンバーには大きな期待が寄せられました。

打ち上げられる探査機は試作を重ねながら2016年8月に完成。打ち上げは同レースに参加する別チーム「TeamIndus(チームインダス)」と相乗りすることも決定し、2017年12月28日に打ち上げ予定となっていました。

打ち上げと探査のミッションの最終期限である2018年3月末。長い期間進めてきたプロジェクトが最終局面を迎えようとしていた時、一つの問題が発生します。それは相乗りを計画していたTeamIndusの開発遅延と資金不足でした。多くの企業や個人から支援を集め進めてきたHAKUTOは、泣く泣く月面探査を断念します。

結局、ファイナリストとして月面探査を目指していた5チームとも打ち上げまで至らず、このレースは「勝者なし」として終了してしまいました。

HAKUTO-Rとして再出発

日本チームHAKUTOは月面調査を断念する事態となりましたが、そのプロジェクトは「HAKUTO-R」として、HAKUTOを運営してきた宇宙ベンチャー企業「ispace」が引き続き進めています。ispaceは月面の水資源開発を行い、近い将来に人々が宇宙を利用できるよう、宇宙インフラの構築をミッションとして活動しています。

今後は、HAKUTOで調達した100億円を超える資金を活用し、月を周回する探査機を2020年に打ち上げ、2021年には月面探査を行う予定です。2040年には1000人が月に住み、世界中の人々が宇宙を旅できるよう、「HAKUTOを再起動(Reboot)」させたHAKUTO-Rプログラム。日本初となる月周回と月着陸は成功するのか。ispaceの挑戦は多くの人の希望と夢を背負って続いていきます。

 
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