(写真=paulaphoto/Shutterstock.com)
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Culture

地域に密着する地域型クラウドファンディングの可能性

2019.1.7
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さまざまな企業や団体、個人が参加するクラウドファンディングは、全国各地で多くの人に利用されています。目標額が100万円、1,000万円を超える大口のものだけでなく、10万円ほどの小口のプロジェクトも多く立てられています。この小口のクラウドファンディングの中で、特に着目したいのが「地域密着型」クラウドファンディングです。

クラウドファンディングは、地方経済にどのような影響を及ぼし、何をもたらしたのでしょうか。地域型クラウドファンディングは本当に地域貢献につながるのか、その可能性について考察します。

地域型クラウドファンディングの実例

まずは地域型クラウドファンディングの実例をいくつか見ていきましょう。

「忍者」募集と同時に関市をPR

NPO法人劇刀桜絵巻が、イベントの宣伝、メンバーの募集、資金集めの3つを同時に行ったプロジェクトが「忍者が腰痛で大ピンチ!『関まつり』で最高の舞台を実現したい!」です。キャッチーなタイトルもあいまって、プロジェクト掲載終了前に目標額の10万円を達成しています。

「関まつり」の開催地である岐阜県関市は、刃物の産地として知られる土地です。関市で作られていた日本刀の魅力を発信するために、関市公式武将隊「関武将隊KUMOAGEHA」は市内で行われるイベントで、アクションを売りにした舞台を披露しています。今回のクラウドファンディングの主旨は、「KUMOAGEHAのメンバーのうちの一人が腰痛のため、殺陣や激しい動きのある舞台に立てないのでメンバーを増強したい」というものです。

プロジェクトページを開いてみると、戦国武将とVR(バーチャルリアリティ:仮想現実)で観光できるアプリ「雲揚羽」のPRや、関市についての紹介が行われています。地域向けには、メンバー募集のプロジェクトとして、一方で、キャッチーなタイトルにひかれてページを開いた人には、関市をさりげなくPRできるよう設計されています。さまざまな角度から見てもおもしろく、参加してうれしいプロジェクトといえるでしょう。

個人や民間による新しい移住促進プロジェクト

地域型のクラウドファンディングでは、移住促進のための資金集めも多く行われています。例えば、移住者や2拠点生活者のためのインフラを紹介する地図作りや、自分たちの住む土地の魅力を知ってもらうための宿作り、地域の魅力を伝えるための映像作りを行うために、クラウドファンディングを活用しています。

移住促進に関しては各自治体でも取り組んでいますが、個人や民間企業が行うことで、自治体とはまた違った視点で魅力を発信することができます。

地域ぐるみで高齢者を守る取り組み

厚生労働省の呼びかけによって、高齢者が「住み慣れた街で自分らしく生活するためのサポートを地域全体で行いましょう」という主旨で始まった「地域包括ケアシステム」構築への動きは、自治体が地域それぞれの自主性や主体性の中で行うことから、構築されるスピードや課題が地域ごとに異なります。

そのような中、地域ぐるみで高齢者福祉のチーム作りを進めるために、プロジェクトを立ち上げたのが、福祉事業に取り組む香川県ファミリーハートです。チーム作りのために、アマチュアホームヘルパー養成講座の開講、高齢者カフェの開設、在宅介護サービスの立ち上げ、これら3つの事業に活用する資金調達をクラウドファンディングで開始しました。地域ぐるみで高齢者を守ることによって、介護の手の足りない部分を解消する仕組みを作る試みです。

少子高齢化が進む中で、高齢者への福祉をどう担っていくのかというのは、全国的な課題です。特に過疎化が進む地域では、クラウドファンディングで呼びかけ、支援を募ることによって、より多くの人に問題意識を持ってもらえるのではないでしょうか。

クラウドファンディングでどう地域を盛り上げていくか

このように、地方ではさまざまな角度からクラウドファンディングを利用しています。しかし、すべてがうまくいくわけではなく、資金調達に失敗するプロジェクトも少なくありません。小さな部分へ情報を届けて資金を集めるという点で、地方型としては優れていますが、逆をいえば小さな部分にしか情報を届けられないため、資金が集まりにくいという面もあるのです。

また、「インターネットで支援する方法が分からない」という理由から、現金で直接支援する人も少なくありません。つまり、何らかの資金調達を成功させるためには、「ネットの利用に慣れている層以外にどうやって働きかけるのか」という視点も必要になります。

さらに、「継続する」という考えも大切です。クラウドファンディングで資金を調達する方法ばかり考えてしまいがちですが、活動を継続していくことによって地域の仲間と支援者を徐々に増やし、地域への貢献に、より多くの人を巻き込むことができるでしょう。

支援者側も、自分で支援を行うだけでなく、知人や友人にプロジェクトの存在を広めていくことで、より貢献度を上げることができます。

さまざまな地域で頑張る人を応援しよう

クラウドファンディングでの支援は、日本全国どこからでも可能です。出身地はもちろん、旅行で訪れたことのある地域、転勤で一時居住していた地域など、応援したい地域があれば、検索して支援できるものがないか探してみましょう。

機会があれば、支援したイベントや企業、地域を訪れて、支援後の活動がどうなっているのか実際に確かめてみるのもいいかもしれません。地域で頑張る人たちへのエールを送る方法の一つとして、クラウドファンディングを利用してみてはいかがでしょうか。

 
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