(写真=PIXTA)
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クラウドファンディングで子猫を救う!「動物病院×猫カフェ」の挑戦

2019.6.18
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殺処分によって失われる猫の命を守り、里親とマッチングすることを目的とした猫カフェ「ニャンコプラス」は、長崎県佐世保市にある浜口動物病院によって運営されています。より多くの猫を救うためのスペース増築費を、クラウドファンディングによる支援によって実現しました。殺処分の課題をめぐる動物病院の挑戦と、資金援助によって実現した成功事例をご紹介します。

保健所の殺処分の現状と課題

環境省自然環境局の統計データ(「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」2017年)によると、日本では年間10万648匹の犬と猫が保健所や施設に収容され、うち4万3,216匹が殺処分されています。さらに、その中の10%以上が飼い主から引き取られていることから、ペット飼育が一般家庭に普及したことによる負の側面が浮かび上がってきます。

動物愛護法が2013年に改正されて以降、犬と猫の殺処分廃止への全国的な取り組みが進んでいます。東京都知事が2019年をめどに都内殺処分数ゼロを目指すことを宣言したことも象徴的な出来事です。

各自治体の取り組みの結果、収容施設での殺処分数は年々減少しているのは事実です。一方で、殺処分を免れた犬と猫の受け入れ口は少なく、引き取り手を担った動物愛護団体やボランティア団体が経済的に行き詰まるケースも目立ちつつあります。

施設のキャパシティを超える動物を飼育した結果、ウイルスの感染や体調管理の不備などの問題が起こることも少なくありません。飼育される動物の管理を徹底するために英国で定められた「国際的動物福祉の基本」には、食の保証のみならず、ペットの清潔な環境や健康を管理することが記されていますが、現状では、その条件を満たす形で動物を保護する環境は整えられていないのです。

浜口動物病院がオープンした猫カフェの成果と直面した課題

こうした現状を改善すべく動き出したのが、浜口動物病院です。浜口動物病院は、動物の治療をするかたわら殺処分問題に対する課題意識を持ち、佐世保市の保健所で殺処分されてしまう猫のほとんどが生後間もない子猫であることに注目しました。

2016年、浜口動物病院は殺処分される予定だった猫を引き取り、病院の2階に猫カフェ「ニャンコプラス」をオープンしました。ニャンコプラスは、猫と飼い主のマッチングをゴールとしたカフェ運営をしており、カフェに猫がいるのではなく、猫と触れ合うための部屋に時間制限を設けて客が入る、という考え方を取り入れています。

猫たちは、生後の週齢に応じて猫エイズウイルスの検査やワクチン接種を受けており、病院の環境を生かしながら無理なくカフェになじめるようケアされています。また、カフェで大人の猫や人間と触れ合うことで、子猫の社会性を育むことができるため、里親が引き取ったあとも安心して暮らせる猫が多いそうです。

オープン以降、2016年9月から2018年6月下旬までの約2年間でニャンコプラスが保護した猫は61匹にのぼります。丁寧なケアと、里親を見つけることを最終ゴールとしたカフェ運営は、多くの賛同者を得る一方で、救える猫の数が限られることが課題です。

クラウドファンディングで成功した増築

浜口動物病院はより多くの猫を救うためのスペース拡張を目的に、クラウドファンディングプラットフォーム「Ready for」を利用した資金調達を2018年に実施しました。里親とのマッチングを図る触れ合いスペースを約10畳、子猫の子育てスペースを約3畳、さらにウイルス陽性の猫が暮らすためのスペースを約2畳増築するための費用として、450万円の支援を呼びかけたのです。

本プロジェクトには391名にのぼる支援者が集まり、2018年9月28日には目標調達額を達成しました。今後も、猫の住環境の充実と里親とのマッチング数の増加のため、クラウドファンディングを利用した支援を募る可能性はあります。

経済的な事情で活動を続けられない動物保護団体や、動物たちの住環境の劣化が進む施設が多い中で、動物病院が支援者を募るスタイルでの成功を見せた本事例は、各地の動物殺処分ゼロを実現する希望の光となるでしょう。

命を救うためにできる援助を

動物の殺処分軽減に取り組む団体や施設に資金提供を通じて支援を行うことは、尊い命を救うためにできることであり、殺処分ゼロを目指す社会の要請にも合致します。公的な保護施設を有する自治体が短期間で殺処分の軽減を目指す中で、動物を受け入れる環境を整えることは急務になっています。問題意識を持って支援する人の輪の広がりが望まれています。

 
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